発達障害・学習の特性がある子への個別指導|合う教え方の見つけ方
発達障害や学習障害と診断されているお子様も、診断はなくても学習に強い苦手を感じているお子様も、困り方は一人ひとり異なります。同じ「文章題が苦手」という状態でも、問題文を読むことに負担があるのか、条件を整理しにくいのか、式へ置き換えるところで止まるのかによって、必要な説明は変わります。
大切なのは、診断名から教え方を決めることではありません。どの場面で理解が止まり、どの伝え方なら次へ進みやすいかを具体的に見つけることです。本人に合わない方法を繰り返すのではなく、説明の量、見せ方、課題の分け方、授業の速さを少しずつ調整します。
この記事では、発達障害・学習の特性があるお子様への個別指導で、合う教え方を探す手順と、家庭教師を選ぶときに確認したいポイントを整理します。
目次
診断名だけで決めず「どこで止まるか」を見る
発達障害や学習障害という言葉を知ることは、お子様の困りごとを理解する手掛かりになります。ただし、同じ診断名があれば同じ教え方が合うわけではありません。読む、書く、聞く、覚える、順序立てる、集中を保つといった学習場面を分けて見ます。
「算数が苦手」「国語が嫌い」のような大きな言葉だけでは、授業で何を変えるべきかが見えません。教科名ではなく、実際の教材と行動を見ながら、止まる位置を具体化します。
見える行動だけで理由を決めつけない
問題を解かずに手が止まっていると、取り組む気持ちがないように見えることがあります。しかし、最初の一手が分からない、指示が多くて順番を保てない、書く作業に時間がかかるなど、外からは見えにくい負担が隠れている場合があります。
たとえば、口頭なら答えられるのに記述問題では書けないときは、知識がないとは限りません。考えを文章の順番へ並べること、必要な言葉を選ぶこと、実際に書くことのどこで止まるのかを分けます。一つずつ確かめると、説明を変える場所が見つかります。
| 学習中に見える場面 | 観察したいこと | 試せる説明の工夫 |
|---|---|---|
| 問題文を読み終える前に止まる | 語句、文の長さ、条件の整理のどこが負担か | 一文ずつ区切り、条件へ印を付ける |
| 口頭の指示を途中で忘れる | 一度に伝えた量と、作業の順番 | 指示を一つずつ出し、手順を見える形にする |
| 答えは言えるが文章にできない | 言葉選び、順序立て、書く作業のどこで止まるか | 口頭回答からキーワード、短文の順で組み立てる |
| 計算の途中でミスが重なる | 考え方、手順、数字の写し方のどこでずれるか | 途中式を一段ずつ分け、同じ位置に書く |
このように、目の前の行動を小さく分けることが出発点です。診断の有無にかかわらず、具体的なつまずきを見る姿勢は、本人に合う教え方を探す助けになります。
合う教え方を探すための観察ポイント
教え方を考える前に、うまくいかなかった場面だけでなく、比較的取り組みやすかった場面も集めます。「できなかった理由」だけを探すと、苦手の一覧になりがちです。本人が理解しやすい入口を見つけるには、できたときの条件も同じくらい大切です。
教科ではなく、作業の単位で記録する
家庭で気づいたことは、「数学が苦手」ではなく、「文章題の条件を式にするときに止まる」「計算方法は分かるが数字を写し間違える」のように書きます。国語なら、「音読はできるが段落の要点を選びにくい」「選択肢は選べるが記述になると手が止まる」と分けます。
教師も授業中に、説明を聞く、例題を見る、自分で解く、答えを説明する各段階で、どこまで一人で進められるかを確かめます。どこから助けが必要かが分かると、支える量を調整できます。
分かりやすかった伝え方を集める
図にすると理解しやすい、声に出すと覚えやすい、実際に手を動かすと分かる、最初に完成形を見ると安心できるなど、入りやすい説明は人によって違います。学校や家庭で分かりやすかった説明があれば、その教材やノートを教師へ見せます。
- 説明は口頭、図、文章、実演のどれが入りやすかったか
- 一回の課題量と授業時間はどの程度なら取り組みやすかったか
- 途中で休憩を入れると、戻りやすかったか
- 先に全体像を見た方がよいか、一段ずつ進めた方がよいか
- 褒められた点や、自分から続けられた活動は何か
負担が増える条件も伝える
長い説明が続くと混乱する、急かされると考えが止まる、間違いをすぐ指摘されると答えにくくなるなど、避けたい接し方も教師選びの材料です。本人が言葉にしにくい場合は、保護者が見てきた様子を具体的な場面として伝えます。
学校で使っている手順表や、普段の学習で役立っている道具があれば、共有できる範囲でそろえます。家庭と個別指導で方法が大きく違うと迷いやすいため、共通して使えるやり方を探します。
個別指導で試したい説明の工夫
個別指導の良さは、最初から正解の教え方を当てることではなく、本人の反応を見ながら説明を変えられることです。一度に多くを変えると、何が合ったのか分かりにくくなります。説明の量、見せ方、課題の大きさなど、一つずつ試します。
一度に伝える量を小さくする
「教科書を読んで、例題を解いて、丸付けをして、間違いを直す」とまとめて伝えるのではなく、最初の作業だけを示します。一つ終わったら次を伝え、慣れてきたら二つの手順をつなげます。
長い問題文も同じです。一文ずつ意味を確かめ、必要な数字や条件へ印を付け、最後に何を求めるのかを本人の言葉で確認します。情報量を小さくすると、どこで分からなくなったかも見つけやすくなります。
手順を見える形にする
口頭説明だけで進めず、チェックリスト、短いメモ、色分け、見本などを使います。数学なら途中式を書く位置、英語なら文を読む順番、記述なら「答え・理由・根拠」の枠を決めます。毎回同じ型を使うと、次にすることを自分で確かめやすくなります。
色や記号を増やしすぎると、かえって見る場所が多くなります。使う印には役割を持たせ、本人が迷わず扱える数に絞ります。
別の入口から説明し、本人の言葉で確かめる
口頭説明で伝わりにくければ図へ、図で分かりにくければ具体物や実演へ変えます。ただ説明を繰り返すのではなく、入口を変えることが大切です。
説明の後は「分かった?」だけで終えず、「最初に何をする?」「この式を選んだ理由は?」と短く聞きます。本人が自分の言葉や指差しで示せれば、理解できた部分とまだ曖昧な部分を分けられます。答えに詰まったときは、もう一度同じ説明を重ねるのではなく、手前の段階へ戻ります。
家庭教師を選ぶときに聞きたいこと
「発達障害の指導経験があります」という言葉だけで決めず、実際にどのように授業を組み立てるかを聞きます。経験の年数や人数だけでは、お子様に合う説明ができるかまでは分かりません。目の前の反応を見て、方法を変えられる教師かを確かめます。
初回相談では、教え方を具体的に質問する
相談時には、困っている教材や場面を一つ挙げ、それをどのように見立て、どう教えるかを聞きます。抽象的な方針だけでなく、授業の中で行うことまで答えてもらうと比較しやすくなります。
| 教師・センターへ聞くこと | 確認したい内容 |
|---|---|
| 最初の授業では何を見ますか | 教材、答案、学習中の様子をどの順で確認するか |
| 説明が伝わらないときはどう変えますか | 図、具体例、実演、手順表など別の方法を持っているか |
| 理解できたかをどう確かめますか | 正解だけでなく、考え方や次の手順を確認するか |
| 家庭へ何を共有しますか | できたこと、負担が出た場面、次回の調整点を伝えるか |
| 相性が合わない場合は誰へ相談しますか | 担当者への相談、計画の見直し、教師交代の手順があるか |
本人の得意な方法を尊重できるかを見る
教師が自分の得意な教え方だけを押し通すのではなく、本人が理解しやすい方法を探せるかが大切です。「この方法で分かるはず」と決めつけず、反応を見て説明を短くする、図へ変える、例題へ戻るといった調整ができるかを見ます。
また、できない点だけを指摘するのではなく、どこまで理解できているかを言葉にできる教師なら、本人も次に取り組む場所をつかみやすくなります。苦手を避けるだけではなく、得意な入口を使って必要な学習へつなげる姿勢を確認します。
教師だけでなく相談窓口も確認する
指導が始まると、先生本人には伝えにくい悩みが出ることがあります。説明の速さ、宿題量、本人との距離感、日程などを相談できるセンター担当がいるかを確認します。
ウェルズでは、専門的な指導を担うプロ家庭教師と、学習状況やご家庭の相談を受けるセンター担当の二人体制で支えます。プロ家庭教師が授業を組み立て、センター担当がご本人のモチベーションや親御さんの不安も伺いながら、必要な見直しをつなぎます。
体験授業で教え方と相性を確かめる
体験授業を受ける場合は、普段つまずいている教材を一つ用意しておくと、説明の変え方を確認しやすくなります。簡単に解ける問題だけでなく、答えを覚えていない問題や、途中で止まりやすい課題を選びます。
正解したかより、説明が変わる過程を見る
一回の体験で成績の変化を判断するのではなく、教師がお子様の反応をどう見ているかを確認します。説明しても手が止まったときに、同じ言葉を大きな声で繰り返すのか、情報を減らすのか、図や例へ切り替えるのか。その対応に、個別指導の姿勢が表れます。
- 最初に本人の困っていることを聞いているか
- 一度に長く話さず、考える時間を取っているか
- 分からないと伝えたとき、別の説明へ変えているか
- 間違いの結果だけでなく、途中の考え方を見ているか
- 授業の最後に、できたことと次に試すことを整理しているか
授業後は具体的な質問で振り返る
本人へ「楽しかった?」だけを聞くと、教師の印象だけで終わることがあります。「どの説明が分かりやすかった?」「途中で困ったのはどこ?」「次に同じ問題が出たら、最初に何をする?」と聞きます。
答えがすぐ出なくても、表情や疲れ方、授業後に一人で同じ手順を使えたかを見ます。保護者は、本人の感想と教師の見立てが大きくずれていないか、宿題量や次回の進め方が具体的かを確認します。
学ぶ場の構造も本人に合わせて選ぶ
塾や予備校は、複数の生徒に共通する内容と進度を整える全体最適が中心です。家庭教師は、目の前の一人に説明や課題を個人に最適化しやすく、構造が違います。予備校も悪いわけではなく、どちらの環境が本人の学び方に合うかで選びます。
対面では手元や表情を直接見やすく、オンラインでは画面共有やデジタル教材を使いやすい面があります。どちらが合うかも一律には決まりません。実際の端末と教材で試し、音声、画面、書いた途中式の見え方まで確かめます。学ぶ場の違いは、オンライン家庭教師と塾・予備校の違いでも整理しています。
家庭・教師・センターで見直しを続ける
合う教え方は、一度決めたら終わりではありません。教科や単元が変われば、負担の出方も変わります。本人が慣れて自分でできることが増えれば、教師が支える量を減らす場面も出てきます。
授業ごとに、短い観察を残す
細かな記録を毎回作り込む必要はありません。「今日できたこと」「止まった場面」「次回変えること」を短く残します。正解数だけでなく、説明の受け取り方や、自分で手順を使えたかも記録します。
家庭でも、宿題を始めるまでの時間、声かけの回数、終わった後の疲れ方など、気づいた変化を伝えます。教師の授業中の観察と家庭での様子を合わせると、教え方を見直す材料が増えます。
目標を小さく決め、変えることを一つに絞る
「勉強を得意にする」のような大きな目標だけでは、次の授業で何を変えるかが曖昧になります。「文章題の条件へ自分で印を付ける」「宿題の最初の一問を一人で始める」のように、観察できる行動へ置き換えます。
うまくいかないときに、教材、宿題量、授業時間、説明方法を一度に変えると、本人も教師も何が合ったのか判断しにくくなります。優先する一つを決め、反応を見て次へ進みます。
本人の言葉を、見直しの中心に置く
保護者や教師がよい方法だと思っても、本人が強い負担を感じていれば続け方を見直します。「分かりやすかった」「速すぎた」「書くより先に話したい」といった本人の言葉を、次の授業へつなげます。
合う教え方は、診断名から当てる一つの答えではありません。本人のつまずく場面と分かりやすい入口を見つけ、試し、振り返り、また調整する中で形になります。その過程を一対一で丁寧に続けられるかが、個別指導と家庭教師を選ぶ大切な軸です。

