【薬学部 国試合格率】薬学部「国試合格率」低下の真実。公的統計が示す、努力だけでは進級できない構造的要因
【経歴】
教育業界歴25年。これまでに2,000名以上の受験生、在校生の学習プランを作成。「偏差値30からの志望校合格」など逆転合格のサポート実績多数。
【専門分野】
中学受験・高校受験・大学受験・大学進学・難関資格取得の戦略立案。現在はプロ家庭教師の採用・育成および、年間300件以上の進路相談を担当。
「私たちが学生だった頃と比べて、薬学部の進級や国家試験合格が極端に難しくなっているのではないか?」
お子様の学習状況を見守る中で、そうした違和感を抱かれている保護者様は少なくありません。
結論から申し上げますと、そのご認識はデータ上、正しい事実です。
現在の薬学部生は、かつての学生に比べて圧倒的に多くの講義や実習をこなし、真面目に努力しています。それにも関わらず、留年や国試不合格者が後を絶ちません。
なぜ、学生の努力が成果に結びつきにくいのか。
本記事では、文部科学省および厚生労働省が公表している公的データを基に、現在の薬学教育が抱える「構造的な要因」を客観的に分析・解説します。
1. 国家試験は「受からせる試験」から「落とす試験」へ
まず、厚生労働省が発表している「薬剤師国家試験の合格率推移」を確認します。
6年制薬学部の第1期生が卒業した第100回(2012年)と、近年のデータを比較すると、国家試験の性質が根本的に変化していることが分かります。
| 実施回 | 全体合格率 | 新卒層の合格率と分析推移 |
|---|---|---|
| 第100回 (2012年) | 88.31% | 新卒合格率は95.3%。6年制への移行直後であり、相対的に基礎知識の確認を主眼とした「資格付与型」の試験でした。 |
| 第108回 (2023年) | 69.00% | 新卒合格率が84.8%まで低下。全体で約7割の水準に。暗記中心から「現場での臨床的推論」を問う問題へシフトしています。 |
| 第110回 (2025年) | 68.85% | 近年は全体合格率が68%台で固定化。意図的に合格者数を絞り込む「選抜試験」としての色合いが強くなっています。 |
【要因分析】厚生労働省「薬剤師の需給推計」による合格者数の抑制
この難化の背景には、国の政策方針があります。
厚生労働省が発表した「薬剤師の需給推計」において、「将来的に薬剤師が過剰になる」という見通しが示されました。これにより、国は質の高い薬剤師のみを輩出する方針へ舵を切り、試験の難易度を意図的に引き上げ、合格率を約68%〜70%の枠内にコントロールしていると分析されています。
2. 国立と私立で二極化する「残酷な格差」
合格率低下を語る上で欠かせないのが、大学の設置形態(国立か私立か)による圧倒的なデータ格差です。
文部科学省が公表する「ストレート合格率(入学者が留年せずに6年で薬剤師になる割合)」を見ると、問題の震源地がどこにあるかが明確になります。
| 設置形態 | ストレート合格率 (文科省公表データ平均) | データが示す背景 |
|---|---|---|
| 国立大学 | 約 82 % | 入学時点で高度な理数系学力が担保されており、専門教育への接続がスムーズ。留年者は極めて少数です。 |
| 私立大学 (全体平均) | 55.4 % | 私立全体で見ると、約半数が留年等を経験します。入学者間の学力格差が大きく影響しています。 |
| 私立大学 (下位校層) | 30 % 台 | 大学によっては、入学者の3人に2人が6年で薬剤師になれないという深刻な教育のミスマッチが起きています。 |
【要因分析】なぜ私立大学でこれほど脱落者が多いのか?
文部科学省の最新データ(2026年時点の統計に基づく)によると、2002年の大学設置基準の緩和以前は46校だった薬学部(6年制)は、現在では78大学(81学部)へと約2倍に急増しました。新設されたのはすべて私立大学です。
定員枠が大幅に広がった結果、推薦入試等の多様化により、高校で「物理・化学」を十分に履修していない学生の割合が増加しました。
しかし、大学が提供する専門カリキュラム(有機化学、物理化学など)の学術的レベルは昔のままです。
国立大学の学生は厳しい一般入試を突破しているため、この専門講義に自力で食らいつく基礎力があります。対して多くの私立大学では、基礎学力と大学の授業レベルに「構造的なミスマッチ」が生じており、これが1〜2年次での大量留年を引き起こす最大の原因となっています。
3. 計算式が暴く「見かけの合格率」のカラクリ
基礎学力のミスマッチによる留年者が続出しているにも関わらず、なぜ多くの私立大学はパンフレットに「国家試験合格率90%以上」と華々しく記載できるのでしょうか。
ここには、国立大学には存在せず、私立大学特有の事情から生み出された「数字操作のカラクリ」が存在します。
A. 大学が公表する「見かけの合格率」の計算式
私立大学は学生の学費で経営が成り立っているため、翌年の志願者を集めるための「高い合格率」が至上命題です。
そこで大学側は、国試に合格する見込みのない学生を「卒業試験」で不合格(留年)にし、国家試験を受験させません。分母(受験者数)から成績下位者を人為的に除外することで、見かけの数字を高く維持しているのです。
B. 文部科学省が公表する「ストレート卒業率・合格率」の計算式
一方、文部科学省のデータは、分母が「6年前の入学者数」で固定されているため、操作が一切不可能です。
途中で留年した学生、CBTで落ちた学生、卒業延期になった学生など、「途中でつまずいたすべての学生」がそのまま反映されます。
国立大学の場合、AとBの数字に大きな乖離はありません(どちらも80%台)。
しかし私立大学の場合、パンフレットには「90%」と書きながら、文科省のデータを見ると「ストレート合格率は55%」という異常な乖離が発生します。
これこそが、「私立薬学部の入学者の約45%が、大学の卒業試験や日々の進級の壁に阻まれ、6年間で薬剤師になれていない」という構造的欠陥の確たる証拠です。

4. 努力を空回りさせないための「具体的な学習アプローチ」
以上のデータから導き出される結論は明確です。
現在の(特に私立)薬学部に所属する学生が直面している困難は、単なる本人の努力不足ではなく、「国の政策による試験の難化」と「大学側のカリキュラム・合格率維持システム」の間に挟まれた、構造的な問題であるということです。
「毎日夜遅くまで勉強しているのに、再試にかかってしまった」
もしそんな状況なら、それは本人の怠慢ではなく、「勉強のやり方が、大学の試験で求められていることとズレている」というサインです。大学の教員は研究が本務であり、高校の先生のように個別の基礎補強や、点数を取るためのテクニックまでは教えてくれません。
確実に進級・卒業するための「プロのサポート」
ウェルズ家庭教師センターでは、こうした薬学部特有の「努力が空回りしやすい構造」を熟知したプロ講師が、確実に進級・卒業するための具体的な対策を行います。
- 「何が分かっていないか」の根本原因を特定:
- 薬学部の科目は積み上げ式です。今の授業についていけない原因が「高校レベルの化学」にあるのか、「専門用語の理解不足」にあるのかを見抜き、必要な地点まで戻って穴埋めをします。
- 「その大学の教授」に合わせた定期試験対策:
- 国家試験の勉強と、目の前の定期試験の勉強は別物です。通われている大学のシラバス(授業計画)や過去の試験問題を分析し、「今の教授がどこをテストに出すか」に的を絞って無駄なく指導します。
- 膨大な暗記量を減らす「思考力」の育成:
- 出題範囲をすべて丸暗記することは不可能です。薬の作用機序など、根本的なルールを理解させることで、暗記に頼らず自力で答えを導き出せるようサポートします。
努力の方向性を正しく修正することが、留年という多大な経済的・時間的損失を防ぐ唯一の手段です。
データが示す過酷な現状に対して、お子様の頑張りを確実に成果へ結びつけるため、薬学専門のプロによる具体的な学習サポートをご検討ください。
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