消える大学より気をつけたい大学の見分け方|定員割れは改善しても二極化の動き、最新データと経営が安定した大学の条件

「まさか、うちの子の志望校がなくなるなんてことはないだろう」

そう思っていませんか?

しかし、数字は楽観を許しません。私立大学の定員割れは、2023年度(令和5年度)⁠に53.3%⁠と初めて半数を超え、2024年度には59.2%⁠まで広がりました。最新の令和8年度調査(2026年8月公表)⁠では46.2%⁠まで下がりましたが、その一方で、入学定員充足率が50%⁠に満たない大学は前年度の29校から31校に増えています。全体の数字が良くなっても、苦しい大学はさらに苦しくなっている。いま起きているのは「定員割れの減少」⁠ではなく「二極化」だとも言えます。18歳人口の急減を背景に、国の大学政策も「すべての大学を救う」方向から「淘汰・再編を促す」方向へ大きく舵を切ったとまで言われています。

ただ、「大学が潰れる」こと以上に気をつけたいリスクがあります。それは、経営難に陥った大学が生き残りをかけて学生を「資金源」⁠として囲い込むのではないかという懸念です。これは受験でこれから入る子だけの話ではありません。すでに在学している大学生の進級・卒業のしやすさにも関わりうる、根が同じ問題だと指摘されています。

この記事では、創業51年のプロ家庭教師ウェルズが、公的なデータ(エビデンス)⁠に基づいた「危ない大学の予兆」⁠と、綺麗事抜きの「大学経営の裏側」⁠を徹底解説します。

偏差値だけでなく、「経営の安全性」⁠で志望校を選ぶ時代が来ています。大切なお子様の将来を守るために、ぜひ最後までお読みください。

【結論】私立大学の定員割れは、2023年度の53.3%から最新の令和8年度調査では46.2%⁠へ改善しました。それでも充足率50%⁠未満の大学は29校から31校に増え、「持ち直す大学」⁠と「さらに苦しくなる大学」⁠の二極化が進んでいるとも言えます。経営が苦しい大学ほど「入りやすく、出にくい(留年・寄付金)」構造に陥りやすい、という指摘もあります。志望校選びでは「経営が安定しているか」⁠も確かめておきたいところです。目安は、①定員充足率が3年連続80%⁠未満でないか②財務情報の帰属収支差額比率がマイナス続きでないか③情報公開が透明か、の3点です。

1. データで見る現実:定員割れは改善しても、なぜ「消える大学」⁠の心配は消えないのか?

「少子化」⁠という言葉は聞き慣れているかもしれませんが、大学経営におけるインパクトは、今まさに「崖っぷち」⁠に到達しています。まずは客観的な数字を、1年分ではなく直近4年分の推移で見てみましょう。

① 定員割れの私立大学は「2校に1校」から46.2%⁠へ。それでも二極化の動きも見られる

日本私立学校振興・共済事業団は毎年、全国の私立大学の入学定員充足率を集計して公表しています。2023年度(令和5年度)⁠に定員割れ(入学定員充足率100%⁠未満)⁠の私立大学が53.3%⁠と初めて半数を超えたことは、教育界に衝撃を与えました。ただ、この数字は3年たった今、大きく動いています。

【私立大学の定員割れ状況の推移(令和5〜8年度)】

私立大学の定員割れ状況の推移(日本私立学校振興・共済事業団「入学志願動向」)
年度 令和5年度(2023) 令和6年度(2024) 令和7年度(2025) 最新令和8年度(2026・速報値)
定員割れ大学の割合 53.3%320校/600校 59.2%354校/598校 53.2%316校/594校 46.2%275校/595校・2年続けて改善
入学定員充足率の平均 99.59%100%割れ 98.19%最も低い年 101.61%100%⁠を回復 102.74%2年続けて100%⁠超
充足率50%⁠未満(校数) 29校 43校 29校 31校全体が改善する中で増加

表から読み取れることは、次の3点です。

  • 定員割れ大学の割合は、2024年度の59.2%⁠をピークに2年続けて下がり、令和8年度は46.2%(前年度比7.0ポイント減)。「2校に1校」⁠は、いまは「半数弱」⁠です。
  • 入学定員充足率の平均は、2021年度に初めて100%⁠を割り込み、2024年度に98.19%⁠まで低下したあと、2025年度から100%⁠を回復しました。
  • その一方で、充足率50%⁠未満の大学は29校から31校に増え、充足率150%⁠以上の大学も0校から2校に増えました。分布の両端が広がっている、「持ち直す大学」⁠と「さらに落ち込む大学」⁠に分かれてきている面がうかがえます。前年度に定員割れだった313校のうち、定員を満たすまで回復した大学が70校ある一方で、充足率の区分がさらに下がった大学も66校あります。

出典:日本私立学校振興・共済事業団「令和8(2026)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」(2026年8月24日公表・p.2、p.32〜34)、同「私立大学・短期大学等入学志願動向」(各年度)、文部科学省「私立大学に関する現状等について」(令和7年3月10日)

私立大学の収入は、「学生からの納付金(学費)」⁠と「国からの補助金」⁠が大きな割合を占めるとされています。事業団自身も「未充足であることが、直ちに経営状況が悪化していることを示すものではない」⁠と注記しているとおり、1年の定員割れがそのまま経営危機を意味するわけではありません。ただし、定員割れが何年も続けば、学費収入の減少と補助金の減額が重なり、収支に響くおそれがあります。全体の平均が改善しても、その「続いている大学」「さらに落ち込んでいる大学」⁠が一定数あることが、いま見ておきたいポイントです。

② 「2040年問題」⁠と国の方針の変化

さらに恐ろしいのはこれからです。文部科学省の推計によれば、大学進学の中心となる18歳人口は以下のように推移します。

18歳人口の推移(文部科学省推計)
年度 1992年(ピーク時) 2023年 要注意2040年(推計)
18歳人口 約205万人大学の数はこの頃から増加 約110万人ピーク時の半分程度 約88万人大学数はまだ高止まり

マーケット(学生数)⁠がピーク時の半分以下になっているにもかかわらず、大学の数は増え続けてきました。これに対し、中央教育審議会(文科省の諮問機関)⁠の議論でも、経営が困難な大学には早期の撤退や統合を促すべきだという趣旨の意見が出ているとされています。

かつてのように国がすべての大学を守る「護送船団方式」⁠は、終わりつつあるという見方もあります。これからは大学自身が生き残りをかけて工夫する時代で、選ばれなかった大学は撤退を迫られる可能性もあります。

参考:文部科学省「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」

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2. 定員割れが「続く」大学で指摘される構造

「大学が潰れても、大卒資格はなくならないから大丈夫」

そう考える方もいますが、「潰れるまでの期間」⁠にこそ注意が必要だという見方もあります。

経営難に陥った大学は、生き残るために収益の確保を優先せざるを得なくなる、という見方があります。ここでは「大学の収支構造」から、その指摘の中身を整理します。

補助金の減額と学費依存

私立大学の収入は、主に「学生からの学費(約77%)」⁠と「国からの補助金(約10%)」⁠です。

しかも、補助金には厳しい仕組みがあります。文部科学省の制度上、定員充足率が著しく低い大学は、国の補助金が減額されたり、交付されなかったりする場合があるとされています。

つまり、定員割れが続いて充足率が大きく下がった大学は、「学生からの学費が減る」⁠だけでなく「国からのお金も減る」おそれがある、ということです。全体の定員割れが減っても、この仕組み自体は変わっていないと考えられます。

懸念:学生が「収益源」⁠として扱われるおそれ

資金繰りが悪化した大学がどう動くかについては、次のような懸念が語られています。

教育の質を保つことよりも、「入るハードルを下げて学生数を確保し、入った学生からは長く学費を得る」方向へ傾くおそれがある、という指摘です。これは受験生に限った話ではなく、すでに入学している大学生が「進級・卒業できるか」⁠にも関わりうる問題です。

3. 気をつけたい3つの「経営トラップ」

具体的に、経営難の大学ではどのようなことが起こりうるのでしょうか。ここでは「Easy Entry, Hard Exit(入りやすく、出にくい)」⁠という見方で整理します。

① 入試の易化による定員確保(入り口の懸念)

学生数を確保するために、学力試験の比重が小さいAO入試や推薦入試の枠を広げる大学もある、という指摘があります。

入試のハードルが下がりすぎると、大学の授業についていくのが難しい学力の学生まで入学しやすくなる場合があります。それが学生への配慮ではなく、「定員(売上)⁠の穴埋め」⁠が目的になっているのではないか、という懸念です。

② 補習不足と「留年」⁠の増加(在学中の懸念)

ここが特に気になる点です。学力が不足したまま入学した学生に対し、補習体制(コスト)⁠を十分にかけられない大学では、授業についていけず単位を落とす学生が増えるおそれがあります。

大学側から見ると、学生が「留年」すれば、追加で1年分に近い学費(私立大学ではおおむね年100万円前後〜)⁠が入る場合があります。経営難の大学では「スムーズに卒業されるより、留年してもらった方が収入になる」⁠という利益相反が生まれかねない、という指摘もあります。すでに大学生のお子さまがいるご家庭にとっても、「進級・卒業できるかどうか」⁠に関わる見過ごせない点です。

留年や卒業試験が実際の数字にどう関わっているかは、薬剤師国家試験合格率の「からくり」(卒業試験・留年で受験者を絞る大学の実態)⁠で公的統計をもとに解説しています。

③ 「寄付金・設備費」⁠の負担増

「設備維持費」⁠や「教育充実費」⁠といった名目で実質的に負担が増えたり、入学後に寄付金を募られたりするケースがある、という指摘もあります。

経営トラップの起こる場面と見分け方
場面 起こりやすいこと 確認法見分け方の目安
入学前 AO・推薦枠の極端な拡大学力不問の頭数確保 推薦・AO比率が公開資料で急伸していないか大学案内・入試結果で確認
在学中 補習体制の不足・留年の誘発単位を落としやすい 留年率・退学率の開示有無非公開なら要注意
在学中〜卒業前 設備費・寄付金の実質値上げ授業料以外の名目 募集要項の費用項目の細かさ総額表示があるか
個別相談|プロ家庭教師のウェルズ 「うちの子の大学、大丈夫かな」⁠と思ったら。
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4. 受験生・保護者がチェックすべき「3つの危険サイン」

このような大学を避けるために、ニュースになる前にチェックすべきポイントがあります。

予兆①:定員充足率が「80%⁠未満」⁠で推移している

単年度の定員割れなら回復の余地があります。実際、令和8年度は前年度に定員割れだった大学のうち70校が定員を満たすまで回復しています。一方で「3年連続で定員充足率が80%⁠を切っている」場合は、目安として注意したい水準です。前述の補助金減額の対象になったり、悪循環に入ったりしているおそれがあるためです。

予兆②:財務情報の「帰属収支差額比率」⁠がマイナス

各大学が公開している財務情報を確認し、「帰属収支差額比率」⁠が何年も連続でマイナス(赤字)⁠になっていないか見てください。マイナスが続く場合は、過去の蓄えを取り崩しながら運営している可能性があり、財務面の余裕が小さくなっているおそれがあります。

予兆③:不人気学部・短大部の「募集停止」

大学がいきなり「明日から閉校します」⁠と言うことは稀です。多くの場合、段階的な「縮小」⁠のサインが先に現れると言われています。

「地方キャンパスの撤退」「併設短大や不人気学部の募集停止」など、志望校の周辺で縮小の動きがないか確認することが重要です。

実際の例として、薬学部の募集停止はなぜ相次ぐのか(危ない大学の見分け方)⁠もあわせてご覧ください。

危険サインのチェック早見表
確認項目 安全な傾向 要警戒危険な傾向
定員充足率 100%前後で安定単年度の変動は小さい 3年連続80%⁠未満補助金減額の対象になるおそれ
帰属収支差額比率 黒字を維持財務情報で公開 複数年マイナス継続蓄えを取り崩している可能性
学部・キャンパス 維持・拡充新設や増員が続く 募集停止・撤退が出ている段階的な縮小のサイン

今の志望校・在学中の大学に、この3つを実際に当てはめてみる

ここまでの3つの危険サインは、抽象的な話ではありません。今気になっている大学名を思い浮かべながら、ひとつずつ確認してみてください。

定員充足率と財務情報は、日本私立学校振興・共済事業団の調査結果や、大学が公式サイトに掲載している「大学基礎データ」「情報公開」⁠のページで確認できます。資料請求をすれば、大学案内に数字が載っていることもあります。

すでにその大学に在学中で、授業についていけない・単位を落としがちだと感じている場合は、大学の経営状況の確認と並行して、今の学習面のつまずきを先に解消しておくことも大切です。大学の授業・補習サポートでは、専門科目でつまずいている大学生の進級・卒業を個別に支援しています。

5. 「良い大学」⁠とは何か? 生き残る大学の条件

ここまで見てきたようなリスクを避けるうえで、手がかりになるのが「経営が安定している大学」⁠を選ぶという視点です。

では、これからの時代、どのような大学を選べばよいのでしょうか。

① 確固たる「ブランド」⁠と「志願者数」

「自分が何を学びたいかで大学を選ぶべき」⁠というのは教育論としては正解ですが、まだ社会を知らない18歳が専門分野を見極めるのは困難です。

だからこそ、「ブランド(偏差値・伝統)」⁠と「志願者数」⁠が、ひとつの手がかりになります。

一般に、志願者数が多く伝統のある大学は財務基盤が比較的安定しやすく、学生を「収益源」⁠として囲い込む必要性も低い傾向にあります。「学生を育て、社会で活躍させること」⁠が大学のブランド維持に繋がるという、健全なサイクルが働きやすいためです。ただしこれはあくまで傾向であり、大学ごとの財務情報を確認することに代わるものではありません。

② 独自の強み(理系・医療・国際)

文系学部のみの小規模な単科大学は今後苦戦する傾向にあります。

一方で、設備投資が必要で参入障壁が高い「理系・医療系」⁠や、独自の強力な留学プログラムを持つ「国際系」など、他大学にはない「替えが効かない強み」⁠を持つ大学は、生き残りやすい傾向があると考えられます。医療系・国試対策や資格取得を目指す学生にとっても、同じ理屈で「経営が安定した学校を選ぶ」ことは変わりません。

③ 情報公開の透明性

健全な大学ほど、定員充足率、就職率、財務状況、中退率などのデータを公開している傾向があります。

逆に、データが見つけにくい場所にしか載っていない大学は、情報公開に積極的でない可能性があります。公開のしかたも、確認する材料のひとつです。

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ここまでは「これから大学を選ぶ方」向けの話でしたが、実はすでに入学している大学の経営状況が気になって検索した、という方も少なくないと思います。カリキュラムの縮小や教員の異動が続く、留年・進級の基準が急に厳しくなった、といった変化は、大学の経営状況と無関係ではないことがあります。

もし今の大学生活の中で「単位が思うように取れていない」「進級・卒業の見通しが立たない」⁠という悩みがあれば、大学選びとは別の話として、まずは在学中の悩みを相談する(無料)ことも受け付けています。

6. 結論:大学選びは「経営の健全性」選び

大学選びは、学費だけでも400万円以上、生活費を含めれば1000万円近くかかる、お子様の人生を左右する大きな投資です。

「入りやすいから」⁠という理由だけで志望校を決めると、入学後の学びや進級・卒業のしやすさ、大学の経営状況といった、長く通ううえで大切な点を見落とすおそれがあります。

  • 「入りやすさ」⁠だけを売りにする言葉には、経営上の理由が隠れていることがある
  • 志願者数が多く選ばれ続けている大学ほど、財務面のリスクは相対的に低い傾向にある

今の大学受験は、単に「合格すること」⁠だけがゴールではありません。「生き残り、価値ある大学に入ること」⁠がゴールです。補習からの基礎固め、大学生の進級・卒業対策、資格・国試対策まで、進路の場面が違っても考え方の軸は同じです。

プロ家庭教師のウェルズでは、単なる偏差値アップだけでなく、創業51年のデータと経験に基づき、「大学の経営実態」⁠や「入学後のリスク」⁠まで踏まえた志望校選定をサポートしています。

「この大学は経営面で安心できるのか?」「リスクを抑えた進路はどこか?」

少しでも迷いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。プロの視点で、リスクを抑えた進路の選び方を一緒に考えます。

選ぶ前に見ておきたい3点

まとめ

  • 私立大学の定員割れは、2023年度の53.3%から最新の令和8年度調査では46.2%⁠へ改善しました。それでも充足率50%⁠未満の大学は29校から31校に増え、「持ち直す大学」⁠と「さらに苦しくなる大学」⁠の二極化が進んでいるとも言えます。
  • 経営難の大学では「入りやすく、出にくい」構造が生まれやすいと指摘されており、入試の易化・留年の増加・寄付金の要請などのリスクが語られています。
  • 注意したいサインは「定員充足率3年連続80%⁠未満」「帰属収支差額比率のマイナス継続」「学部・キャンパスの縮小」⁠の3点です。
  • 安全な大学の条件は「確固たるブランドと志願者数」「独自の強み」「情報公開の透明性」⁠です。
  • これは受験生に限った話ではなく、すでに在学している大学生の進級・卒業にも関わる問題です。

参考リンク

大学の定員充足状況・入学志願動向に関する、公的機関の公開情報です。

大学受験(中堅大)対策|プロ家庭教師のウェルズ「勉強が苦手」からでも、間に合います。
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